忘年会



 今年も心に残る出来事は何もなかった。恨んだり、憎んだりすることもなかった。今年を忘れ去る理由などない。忘年会をする理由はない。平穏無事が何よりである。
反って、12月は、今年の出来事を思い出す、思い出を語る会が似合うような気がする。しかし毎年師走になると忘年会なる飲み会を実施している。高齢者にとって、忘年会でなく思いで会が相応しい。

 山友と毎年忘年会(思いで会)をして旧交を温めている。世間が忘年会だの、クリスマスなど大騒ぎしてしている。何も計画しないと世間から、取り残された気分になる。高齢者も社会の一員であり、健在ぶりを誇示したくなる。
忘年会しなければならないほど、悩みを抱えていないが、忘年会とは名ばかりで、今年を忘れるのではなく、世間とのつながりを求めているのである。

 昨日の忘年会は心行くまで楽しめた。家での晩酌は、酒一合か、350のビール一缶と決めている。羽目を外さない。忘年会はその決まりがない。一人で飲むのと大違い底なしで飲める。
酌みつか酌まれつ、昭和の匂いがする。心の交流が心地よい。今年を反省して忘れる会は、若者には人気がない。人の心は今も昔も大差ない。忘年会(思いで会)は楽しい。