若き日は過ぎ去り易い けれども多彩であり、豊かなる収穫がある。 それ故に”若き日”は尊い。
田辺聖子の日記の書き出しである。18歳、戦争が激しくなり大学に入学したけれど、授業は無いし、する事もなく日記を付けだしたのである。昭和20年4月~22年3月まで。
私はパソコンで日記を付け始めて、8年近くなる。日記帳を含めると15年近くなる。だから田辺聖子さんの日記に興味が湧いてきた。
田辺さん日記は、毎日付けるでもなく、エッセイ形式である。戦争の理不尽、悲惨を余すことなく述べている。反戦の思想が貫かれている。
生涯、700冊以上の著書を残した作家は、田辺さん以外は知らない。戦争で抑圧された環境で、書きたい意欲がたまったのだろう。
公開を目的で日記をつけ始めたのではなかったのでは? 公開を本人が望んだのか、亡くなって確かめるべくもないが、素晴らしい構成、文章になっている。