明日もしあわせを下さい

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  ザァーザァーと降ったかと思えば薄日が射してくる。蒸し暑い日である。散歩に出掛けるでもなし、買い物に出掛ける気分にもならない。
 暇のついでに、田辺聖子の「18歳の日の記録」を読み返してみた。前回はザっと目を通して見ただけだったが、今回は田辺さんに敬意を払って丹念に読んでみた。
 日記とは言っても、敗戦の年、6月2日、大阪大空襲の日、8月15日、の下りは詳細に綴られている。
 19歳の幸多かりし娘の綴る文章ではない、精緻な表現が、将来大作家になる田辺聖子の片鱗が伺える。
 文学少女が父の死をどうとらえているか、興味があった。父の亡くなった日の日記は、さらりと触れているが、白米のご飯とサンマの塩焼きが美味しくてならなかったと綴っている。 
 目を背けたいもの見た時の心情が痛いほど伝わってくる。日記の最期には、「勉強して小説を書こう、私はもう、この道しか、進むべき道しかない」。あっぱれである!!