巻かない手巻キンパ

 朝から小雨がぱらついていた。久しぶりの雨ですがすがしい風吹いてきた。潤いは湿り気が広がってこそである。とげとげしい気分が柔らかくなる。
料理教室には時間前から、世間話に花が咲く。男の料理教室、全員が男性で、独り身である。みんな話し相手に飢えている。やもめ暮らしの男は無口が多いが、話し出したら止まらない。

 新入会員の報告があり、挨拶があった。Fさんは、1年半前連れ合いを亡くし、独り身のわびしさをかみしめてているそうである。一人でする食事は何を食べても美味しくないと吐露された。
「家にいてばかりではふさぎ込んで、死ぬのを待つばかり、一歩ふみだそう」と、決心して男の料理教室に入会したそうである。動機はどうであれ、人と交わるのは良いことだ。
  
 先生から新人Fさんの指導を任されたが、ちゃらんぽらんの私が出来るはずない。ただ、最古参であるのは間違いないないが、手ほどきするような腕前でない。
私より年上の fさんだが、何を言っても「ハイハイ」、素直である。恐縮してしまう。私の化けの皮がすぐはがれてしまう。リタイアしたらみんな友達同士、気楽にいきましょう。