オン.ザ.ロード

深夜特急沢木耕太郎著)は、「ある朝目を覚ました時、これはもうぐずぐずしていられない」から始まる。これは深夜特急の書き出しの文章である。
胸がキューンと締め付けられる書き出しである。旅に出たい心境に駆り出される。何しろ旅に出る若者が一度は手にするバイブルが「深夜特急」なのである。

旅は若者の特権ではない。夢や希望を語れない、冒険も出来ない若者はたくさんいる。齢を重ねると、確かに無茶や冒険心が萎んで来るのは確かだが、夢を失ったら人生は無味乾燥になる。
行動が億劫になれば、せめて精神の自由を取り戻し、宇宙を羽ばたく星になろう。謳歌しよう。

深夜特急の後書きは「恐れずに、しかし気をつけて」と結ばれている。充分齢をとった私が青臭い夢を語ろうとしているが、何も恥じることはない。
「オン.ザ.ロード」、「旅の途中だ」と世界を飛び回った沢木耕太郎さんは言っている。直訳すれば「路上」。沢木さんでさえ、「旅の途中」だと言っているのである。