記憶

独り暮らしは、ものぐさになる。何かにつけて面倒くさいのである。誰からも文句言われることがないので、気が付けばゴミの山になる。
戦後すぐ育った私は、勿体ない精神が沁みついている。マッチ一本、コンビニエンスストアから貰った、スプーン、箸、袋、大事にしまっている。

家を綺麗に保つには断捨離をする事である。何年も使わないものはキッパリ見切りをつけて捨てるべし。今はやりの断捨離である。私は心ならずも実行している。
断捨離と勿体ない精神は相反するが、ウジがわく生活はおさらばしたいが、捨てきれない精神も併せ持っている。

先日、お気に入りの湯飲みを割ってしまった。湯飲みには私と生活を共にしてきた。色んな記憶が詰まっている。割れた破片はきれいに掃除して片付けたが寂しい。
実家は外人夫婦に貸している。契約にうるさい外国人は、私にとって思い出のモノは何

一つ残さないのが条件である。私にとって捨てていいモノなどあろうはずがない。記憶は残る。