よみがえる思い出

 日が経つにつれ記憶は薄れていく。しかし、今年亡くなったIやT、四国のNの思い出は薄れるどころか、鮮明によみがえってくる。
昨夜のように、急に冷え込んでくると、心まで寂しくなる。秋になると心がセンチメンタルになると言われているが、友のことが頭の隅に現れてくる。

 東京で一緒に学生時代を送ったN、湘南の海に海水浴に出かけたこと、東北のスキー場で転んでばかりで地元民に笑われたこと、もう二人で語り合うこともできない。絶対出来ないとなると千ない事だが悲しくなる。
学生時代のNは大人しい学者肌であったが、社会に出て学生時代のNと同じ人物かとかと思えるほど、明るく積極的になっていた。Nは町会議員、町長、県会議員にも立候補するまでに人望を集めていた。
 
 散り際も颯爽としていた。延命医療を断り、生前葬を執り行った。生きたいように生き、何も思い残すことなく、潔い生き方だったと褒めてあげたい。
4年前、議員の研修旅行で立ち寄った時が最後であった。大人しかった昔とは違い、カラオケのマイクは離さず豪快に歌っていた。