オーイ西丸!!

 郵便受けに西丸名字のハガキが目に入った。律儀な奴だ、年賀状もくれるし、暑中見舞いも書いてくれる。しかしよくよく見ると彼の御内儀からだ。胸騒ぎがする。
奥さんからハガキがくるなんて、どう言うことだ。胸騒ぎは的中した。「夫、西丸一明儀、食堂がんを患っていましたが本人の希望により延命治療をことわり、緩和ケアの道を選び、8月2日に享年76歳で永眠しました(文面のまま)。
 西丸君とは長い付き合いだ。大学の学部同じで下宿先が近いこともあって、親しく交流があっあt。なぜか通学の電車内でも一緒になり、話し込んでいた。
大きな声を上げることはない、寡黙な学生の印象だった。成績優秀で、就職は一流企業に誰よりも早く内定していた。誇らしい友人で会った。

 会社を辞め故郷の香川に帰ったのは、家業の燃料店を継ぐためだ。寡黙だった彼はいつの間にか町議になったり、町長に、県会議員に立候補したり見違えるように活発な人間に変身していた。
絶句した。4年前、議員研修で来熊して酒を酌み交わしたのが最後になった。新婚旅行で立ち寄ってくれたし、息子が熊本の大学に受かって、アパート探し、引っ越しも手伝った。訃報を何度も読み返したが嘘でない。友人が次々鬼籍に入る。寂しくなる。