帰れない山

テーマがたくさんあっても、考えさせられる映画であった。山岳映画なのか、はたまた青春映画なのか、的が絞りにくい、多岐にわたる問題をかかえている。
山がつく題名から、我々登山家は単純に捉えてしまうが、山登りが主要テーマでない。確かに今から登山を始めようと思っている人には参考になるかもしれない。

しかし、大自然の魅力を十分描いているかと言えば物足りない。大画面に大自然を描い切れていない。中途半端である。
日本人監督の自然の描写に比べれば見劣りがする。だからと言って社会に何を訴えたいのか、それは明確である。

親子関係、友達関係、夫婦関係、色々問題をかかえている。生きがいを持って暮らしていても、砂上の楼閣である。
人生は永い。成功者と思ってもいつ、崩れるかわからない。直ぐ結論を出せばいいと言うものではない。あさらず、ゆっくり、青い鳥を見つける。人間賛歌の映画である。