野球部物語 9

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ネムノ木

 早朝、学校に集まり、路線バスで開会式場に向かった。日ごろバスに乗る機会もない。まるで旅行に行く気分ではじゃいでいた。
 それは会場につくまでで、みな強豪校に思え、ユニホームは見事に決まってかっこよかった。我がチームはどう見ても田舎チームの格好で、上がってしまい声すらでない。
 クジ運悪く、市内の強豪校江原中学に当たってしまった。勝つことよりゴールドゲームにならなければと、戦う前から負けていた。
 しかし、蓋を開けてみると、我が中学のエースM先輩のコントロールは抜群で、三振の山を築いていった。あれやあれよ言う間に、勝利の女神は我が中学に傾いたのである。
 2回戦に進出すること思いもよらなかったことで、午後の試合はどう戦ったことか、記憶が途切れている。負けて帰ったことは覚えている。
 帰りに、教頭O監督がご褒美にアイスクリームを全員に奢ってくれたことは鮮明に覚えている。勝利の美酒ならぬアイスクリームが五臓六腑に沁みわたるほどおいしかったことは今でも思い出す。教頭O監督ありがとうございました!!