蝉の声





盛夏の風物詩と言えばセミの声である。周りはビルが乱立し林や森は姿を消している。セミの棲みかはほとんどなくなっている。どこから湧いてくるのか?
朝から蝉の声が騒々しい。鳴くは鳴くわ、あの小さな体でどこにエネルギーがあるのか不思議である。

私の庭には柚子の木や槙の木、梅の木、山茶花、マンサクがところ狭しと植わっている。狭い庭であるが、毎年セミの大合唱が季節を知らせてくれる。
地中で何年も過ごして、成虫になり、鳴くだけ鳴いて数日で命を終える。素晴らしい輪廻で、セミの儚い一生を思うとセミの声は愛おしい。

セミは何の目的でこの世に誕生したのだろうか。ただ、ミーンミーン、ジージー、聞きようによってはガーガー、シャーシャーと鳴いたりしている。
誕生して間もなく一生を終えるが、ただ命をつないで、土に還るのはけなげである。セミの一生を考えるのには、暑すぎる。