どうしても東京に行きたかった。末っ子で家族に甘えていたかったが、誰もが志すように、年頃にならうと、自分が育った所を脱出したくなるのは世の常である。
親元にいると、生活には困らないし、ぬくぬくと生活できるのはわかっているが、、本能的に閉塞感が生じ、社会に羽ばたくなるものである。
勇躍東京に出てきたものの、世間はそう甘くないのが解って来た。どんなに努力しても、東京では一軒家も持てない。大志を抱いてきても、4年間で萎んでしまった。
私の理想は、一軒家に住んで、芝生のある家にどうしても実現し、住んでみたかった。社会を改革したいと頑張っていても、小社会を夢見ていたのである。
東京から都落ちしたのは、たいした理由はないのである。そして何とか恋女房と協力し、頑張って、芝生付きの一軒家に住むことが出来た。
青々とした芝生の家に住むことが出来、小さい夢であるが実現できた。しかし幸せは長く続かなかった。連れ合いの死で、今まで頑張ってきたことが、寒々ととした芝生に変わった。