捜し物

 

 「暮れ長し」の季節は、暮れるのが早く、明けるのが遅い。朝、目を覚まし、外に出ると真っ暗闇である。もう一寝入りするかと思案するが、一度目を覚ますと、二度寝は出来ない性分になっている。
そいえば、今日は寝覚めが悪い。そうだ昨夜は娘から頼まれた捜し物を遅くまで探していた。大事なものは置き場所は決まっている。どこにでも置きっぱなしにはしていない。

 すぐ探しだすと高を括っていたが、無い。絶対、寝室に置いてある。戸袋を開けるだけ開け、隅から隅まで探したが、お目当ての捜し物は見つからなかった。
捜すのは苦にならない。私の教員免許状、柔道段位状が見つからないので、娘の捜し物と一緒に探すことで、一石二鳥になる。時間も気にせず探し回った。結局見つからなかったので寝つきが悪かった。

 娘から、「熊本地震で処分したかも」。「そんなこと、断じてない。大事なものを捨てるようなことはしません」と大声で返した。
「2階を探したら」。たまには娘の言うことも聞いてみるか、と二階に上がったら、すぐに見つかった。今までの大騒動はなんだったのか、視点を変えてみると上手くいくものだと安堵した。