私小説

f:id:sin0501:20220212154116j:plain

f:id:sin0501:20220212154149j:plain

f:id:sin0501:20220212154228j:plain

    芥川賞作家西村賢太さんの突然の訃報に驚いた。2006年、「苦役列車」で受賞したのは芥川賞に風穴を開ける新境地の作品であった。
 新境地と言っても、斬新な新しい領域でなく、泥臭い私小説の分野である。決してスマートと言えない風貌で、飾らない人柄は、好感が私には持てた。
 私が綴っているブログは自分の内面をさらけ出す点では私小説と似ている。私小説は文学的に陽の目をみなかったが、西村さんが、気品とユーモアをあぶりだしてくれた。
 私小説が文学的でないと誰が決めたのか。自分が生きてきた生きざまをたどることは、人間の生き方の道標になるはずである。
 「j自分は、自分を語り、身もふたもない様々な告白の小説しか書けない」と、生前語っていた。自分の限界を知っていた。
 中学しか出ていなくても、かっこいい文学作品を書かなくても、立派に小説が書けると実証してくれた。笑顔が素敵な西村さん、人なっこい西村さん語り口が聞けないのは残念である。ご冥福を祈る。