五足の靴

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藍より青い天草の海を見たくなった。コロナ禍でくすぶった心を晴らしたかった。
それには、天草の海岸をドライブするに限る。
 宇土、住吉、三角西港を過ぎる頃には、世間のゴチャゴチャしたことなど
心のどこにも存在しなかった。気分が高揚しまくっていた。
 五橋を渡ると、天草は日常の生活をきれいさっぱり忘れさせる、旅人に変身させる
エキゾチックな魅力を醸し出すから不思議である。
 身も心も旅人に成りきったところで、目的地の下田に到着する。コロナに酷暑、五足の靴の遊歩道には観光客の姿はどこにも見当たらない。余程のもの好きでない限り、炎暑の中
歩く発想は湧いてこない。
 五足の靴の遊歩道は、夏草が生い茂り、暑さと噴き出る汗に、途中で引き返そうと
思うぐらい難渋を極めた。
 しかし、この位の苦労で中断したことは一度たりとも無い。北原白秋与謝野鉄幹
の心に寄り添いたいのである。