50年ぶりにMと再会した。10年ひと昔の時代、50年も会わなかったのは北海道と、九州と言った距離的問題であるかもしれない。
しかし、逢わなかっただけで、通信が発達した世の中、電話のやり取りは思い出したように、お互いの消息は確かめ合っていた。
学生時代のMは、細身で、がり勉型の寡黙な学生であった。皆が遊び惚けている時でも、真面目に講義に出席する学者肌の学生であった。
Mのお母さんは、四季折々北海道の名産を息子に送ってくれていた。姜育ママのはしりと言ったらMに怒られるかもしれない。
送ってくれた名産品の中にシシャモの時は、下宿仲間に振舞ってくれた。ストーブで焼いたシシャモの味は格別で、今もってその味は忘れられない。
私よりはるかに痩せていたMが、見間違えるように立派な恰幅になっていた。50年の月日はこうも変わってしまうものだと思わずにはいられなかった。
姿は変わっていても、心は50年前のMに変わりはなかった。